小川和紙の紙漉体験@埼玉県小川町

東武東上線で池袋から急行で約1時間ちょっと。埼玉県小川町で紙漉き体験をしてきました。
お世話になったのは、紙すきの村・久保昌太郎さんの工房です。http://ogawa-washi.com/
 
原料を煮るところから紙を漉いて乾燥させるまでの、和紙造りの全行程を丁寧に教えていただき実際に体験することができます。
 
小川町の駅からバスで伝統工芸館前で下車するとすぐに紙すきの村の売店があり、そこから本工房まで歩いて行きました。売店には「本工房まで300m」と矢印が出ていたのでおずおずと裏の方の道へ。この日は天気も良く清々しい♪

 
しかし、この道で良いのだろうか……と若干不安に思いながら進むと矢印が!

ふむふむ。こっちだなと進みます。
 
するとまた矢印が!

 
なんだか迷路のゲームのようでわくわくしました。ゴールはもうすぐだ!
そしてゴーーール!

いや、本日の目的はゴールに着いてからが本番です。AM9:00、すでに工房では職人さんが紙を漉いていました。
 
まずは流れを説明していただき、早速開始。まずは原料を煮るところから。
原料の楮のとはこんな木。クワ科。この木の皮が和紙の原料なのですね。

 
原料の楮は2〜3日前から水に漬けて準備をするそうです。やわらかくなった楮をお鍋でぐつぐつと2〜3時間ほど煮ます。

この間に練習させていただけます。この練習は後にかなり効きまして、初めての者にとっては独特のリズムや特性があり、感覚をつかむまでかなりかかりました。おかげで本番ではなんとなくコツがつかめて、自分では満足のいくモノが出来たので、練習をまじめにやってよかったなと。

 
煮終えた楮のチリなどを取り除く、チリ取り。
仕上がりをキレイにするために細かいチリを手で取り除く作業です。

この作業は、お話を聞いて作業を見させていただいた時に驚愕しました。もちろん作業されている方はお仕事なわけですが、これを全部おひとりで?手作業ですか?と。果てしなく地道な作業です。ここで改めて、手漉きの和紙とはいかに手間が掛けられているのかを知ることができました。本当にすごいです。当然私もこの後やるのですが……。このあたりの作業はかなり性格が出るようです。
 
チリ取りを終えた楮は叩いて潰します。今は機械でやるそうですが、体験では昔々のアナログ技術を教えていただきました。棒で叩くというシンプルな人力です。私は1人で参加したもので、説明を受けた時には正直「………。」という感じでしたが、手伝っていただいたので助かりました。これがなんとも楽しいのだけどキツイかった。
 
やわらかくなったとはいえまだ紐っぽい感じの原料をもちもちするまで叩きまくります。はじめは大きく重い棒でざっくりと潰していき、後に小さな麺棒のようなもので(二刀流)細かくしていきます。
 
そしていよいよ紙漉きです!
練習していたので、割とさくさくできました。そしてたくさん漉きました!漉くことに慣れてくると少しずついろんな細かい事を教えていただき、さらに上を目指す感じですかね。確かにはじめにいろんな事を教えてもらっても、揺することにいっぱいいっぱいで出来ませんし。最後は取り除いたチリも混ぜて何枚か漉きました。これもまた味があっておもしろい模様になるのです。
 
漉いた紙は水を切って干します。
水を切るのはこんな道具でした。少しずつ圧をかけてじわじわと水を切るのだそうです。この間に少し休憩。

 
そして水を切った紙を乾燥させて和紙の出来上がりです!少し厚めの紙が欲しかったので2枚重ねました。

練習の紙は板に貼り付けて天日乾燥しました。木目が紙について面白い風合いです。本番は鉄板乾燥しました。
  
本当に丸1日で、本当に充実の1日でした。楽しかった。
これを使って作りたいものがあるのです。ふふふ。

 
伝統的で歴史がある小川町の手漉き和紙。
毎日こつこつと積み重ねることが歴史となり、伝統は変えずに研究して発展もしていきたい。常に和紙のことを考え、和紙を作ることが生活であり仕事であり日常、という久保さんの工房。いろんなお話を聞かせていただきました。練習中、久保さんのおばあさまに「上出来だよ〜」とお褒めの言葉をいただいたのですが、お聞きすると現役の時には久保家紙漉きのエースだったそうで!昔の小川町では紙を漉くのは女性が多かったとか。久保さんのご家族と工房はずっと昔から和紙と共にあり、それはなんてステキなことなのだろうとしみじみ思いました。現実には和紙の需要は減ってきていて、いろいろとご苦労も多いようですが、これからも頑張っていただきたいです。