引越〈古民家へ転居〜その弐〉

猫さんもOKという事で、なんとか決まった新居ですが、その後もろもろと問題発生です。
内見して即気に入った私たちは、申し込みしたい旨を伝え、契約に向けて動き出しました。各箇所を写真に収め、いろいろと生活をイメージしてみたところ、このステキな古民家には洗濯機置き場がない?……
仲介の不動産屋に聞くとやはりないらしい。
2年ほど空家だった以前は、十数年間ご家族で住まわれていたらしいのですが、大家さんからは「洗濯機置き場がない」などとそのような事はいわれた事がないと言われてしまいました。
この大家さんは、元は大学の先生をされていたという方で、物件付近の地主さんで80過ぎのおじいさんですが、とてもしっかりされた方です。
まぁ最悪外でも良いかな…と一時は思ったのですが、私も仕事していく上で、夜に洗濯をするという事は十分あります。というか多分、その方が多いと思います。そんな時に洗濯機が外では、ご近所さんにご迷惑がかかるし、私も気になるし、手がかかって大変だ。ということで、なんとか室内に洗濯機置き場の設置をお願いしたところ、これが面倒な事になってしまったのです。
大家さんの知り合いの職人さんには、排水の工事などは床をはがしてうんちゃらかんやら…と、とんでもない大掛かりな工事になってしまうので出来ないと。お風呂場に設置すれば簡単でいいのでは?と提案されました。が、しかし、そのお風呂もバランス釜で、そのお風呂さえ安全に使えるかどうか入居までには確認ができない。しかも、お風呂場にはコンセントがなく、外から延長で引っ張ってくればいいとおっしゃるのです。やりたい事はわかるのですが、築年数のかなり経っている木造の建物、やはり安全面が不安です。
最近では、古民家は好きな人の間ではブームになりつつありますが、私どもの物件でおそらく決定的に他と違うのは、賃貸という事。賃貸でもリノベーションOKなどの物件もありますが、私どものところは大家様の意向がなんせ強い!平屋ながら広いお家なのですが、そのうち2、もしくは3部屋は床ばりに変えても良いでしょうかと打診したところ、「あの家には畳が似合う!」ということで却下。よほどこだわりのある方なのだと、その条件も了承した上で決めたのですが、その他にもいろんなこだわりのある方でした。
しっかりされた方なのだと、それさえも古風な大家さんと古民家というイメージを満喫しつつあったのですが、結果、キリキリとした思いをすることに。
以前から申し入れていた洗濯機の件、その他天井の修復、畳の張り替えなど、いろんな事もろもろについてが、いざ契約の時において私たちにどうしようかと聞かれ、正直耳を疑いました。というのも、私たちが引越すのはもう一週間を切っているのですから……。間に合わないようであれば事前に言ってくださいと申し入れていただけに、動揺&不安が押し寄せます。
30分で終わったであろう契約に、私たちの目の前で繰り広げられる、洗濯機置き場の設置位置と設置方法のやり取りに何時間かかったことでしょうか。しかも、どうどうめぐりなのです……
大家さんの言分、大家さんが頼んだ職人さんの言分、その物件の仲介をしている不動産屋の言分…
私はただ「お腹が空いた、トイレに行きたい」と思っておりました。
下町の雰囲気や職人、もしくは時間軸、などで済ませてよいのか?というくらい長かったです。私は下町育ちではないので分からないですが、「仕事ならみなさん責任を持ってちゃんとしましょうよ!」と言いたくなるほどで、切なかったです。
そんなに面倒なことになっているなら、一層任せて欲しいとも思ったのですが、そうもいかず。
気に入っているお家だけに一抹の不安が湧き出てしまいました。