楮かしき

和紙の産地である、埼玉県は小川町。
お世話になっている「紙すきの村 久保昌太郎和紙工房」の楮かしきのお手伝いをしてきました。
http://homepage2.nifty.com/ogawa_washi/index.htm
 
楮(こうぞ)とは、和紙の原料である桑科の植物です。小川町では「カズ」と言うことが多いそうです。そして楮かしきとは、年に1回この時期に行われる刈った楮の皮を剥ぐ作業で、和紙の街・小川町では冬の名物なのだそうです。お声を掛けていただき初めて参加してきました。
 
かっこいい前掛けをお借りし、妙にテンションがあがりました♪ ご挨拶やお礼で配るタオルの様な感じで、昔は酒屋さんから頂いたそうです。うぅむ、私も欲しい!

  
 
まずは釜に火を入れ楮を蒸す作業。釜が大きいため沸くまでにも約2時間、楮を入れてから約2時間、皮を剥げる状態になるまでは合計約4時間程かかるそうです。

私どもお手伝い要員が到着する頃には楮はすでにいい塩梅になっており、釜付近は湯気で何も見えませんでしたが豆が煮える様ないい香りが漂い、なおかつホカホカして暖かい釜の部屋。しかし当然、火入れは早朝ですよね。その昔は夜とも朝ともつかない時間からやっていたとか。とは言え今でもこの時期の早朝は暗く、寒く、早速慰労したくなりました午前10時。

 
いよいよ、ほっかほかの楮を剥いでいきます。道具は「手」です。
じゃがいもなどと同じで熱いうちの方が断然剥きやすい。なので冷めない様に毛布を掛けてあげて(剥ぐまでは過保護です)、太いものからじゃんじゃん、ガンガン剥いていきます。冷めないうちにね!


この皮むきに使う手の部分、普段はまず使わない部分なので早々に痙りそうになります(私は左手の親指の付け根と親指人差し指でした)。それでも、太めの木がスルスル〜と剥けるとなんとも快感☆結構ハマりました。
 
お手伝い要員もいろんな世代の方たちがいらしたので、戦時中の体験談を聞かせてもらったりとおしゃべりしながらで、山の様にあった楮も2時間程度で作業は終わり。

剥いた皮は天日に干すため日当たりの良い場所へ移動させて午前の部は終了!


 
お昼には小川町(下小川?)の郷土料理のお煮しめをいただきました。小川のお煮しめはお汁なのだそうです! 

体が温まりお腹もふくれて、さて、午後ももう一踏ん張りです。
 
釜から出して皮を剥ぐ!午前でかなり慣れたため効率もよく、またもおしゃべりをしながらどんどん剥いでいきます。皮を剥いだ後の楮の木たち。ツルッツルです。

 
午後の部、干して終了!お疲れさまでした〜。

 
 
今回楮かしきをお手伝いしてあらためて思うのは、和紙って本当に手間がかかってるのだなぁと言うこと。この日私たちが剥いだ皮は乾燥させてからもう一度煮てチリを取り、叩いて、やっと漉く行程へ。でも、この手間はきちんと紙に現れているなぁと思うのです。あたたくてやわらかい手漉きの和紙に。
 
作業は終始楽しく体験させていただきましたが、しかし、仕事としてこの作業をするのはやはり大変な事だと思いました。
一緒に参加されていた方のお話にもあったのですが、昔は子どもたちが労働としてこういう作業をさせられ、嫌で嫌で仕方なかったと。仕事だから無駄口叩くと叱られたと。遊びたい盛りの子どもたちにはなんともきつい状況なのは容易に想像がつきます。想像を絶するものかもしれませんが……戦争体験のお話などは祖父からも聞けていなかったので、とても有意義な時間でした。
 
私たちは無駄口(?)叩きっぱなしの作業で、このような楽しい時間になったのも工房のみなさんのお人柄なのだと思います。
 
久保さんのショップには一枚から和紙が購入できますし、名刺用・カード、その他いろんな和紙グッズを購入することができます。ちなみにワビスケも和紙は久保さんのところのものです! 小川町では観光案内所内・楽市おがわに置いてありますよ(宣伝です☆)
 
 
冬晴れ、清々し!